暮らしを彩るテーマの展覧会が目白押し! 2022年パナソニック汐留美術館
東京都港区・パナソニック汐留美術館を紹介
取材・文:出口夢々
東京都港区にあるパナソニック汐留美術館。過去に紹介した「香りの器 高砂コレクション 展」「クールベと海 展」など、私たちの生活を豊かにする企画展が魅力の美術館です。
2022年も見逃せない展覧会が目白押し! 本記事では、2022年に開催予定の展覧会情報を、2021年に開催されていた「ブダペスト国立工芸美術館名品展」のレポートとあわせて紹介します。
サムネイル画像:前田昭博《白瓷壺》 2012年 東京国立近代美術館蔵
「ブダペスト国立工芸美術館名品展」を振り返って
ハンガリーの首都・ブダペストにあるブダペスト国立工芸美術館に所蔵されているジャポニスム様式の工芸品が展覧された「ブダペスト国立工芸美術館名品展」(2021年10月9日~12月19日開催)。日本の美術を西洋がどのように解釈したか、その日本の美術や工芸がどのようにして西洋に影響を与えたか、そのありようをジャポニスムとアール・ヌーヴォーをテーマに辿る展覧会でした。
ZIEL編集部は、コスチュームジュエリーデザイナーでガラス作家でもある浅井美恵子さんと本展を訪れました。
——浅井さんは16年間、吹きガラスをされていると伺いました。
浅井:はい、制作頻度は週に一度ですが、もう長いことガラス作品をつくっています。
豪華で装飾的な美しさが魅力のアール・ヌーヴォーですが、本展では日本の文化に影響を受けた作品が並んでいることもあって、直線的で平面的な表現が多く目に止まりましたね。エミール・ガレの《菊花文花器》は日本の蒔絵のようで、ジャポニズムの影響力の大きさが伺える作品でした。
とはいえ、ガラス作品のつくり手としては、やはりその手法に興味をそそられます。パート・ド・ヴェール(※1)でつくっているのかなと思いきや、解説を読んでみるとアプリカシオン(※2)でつくられていて、その手間暇に思いが及んでしまいました。吹きガラスもそうなんですが、ガラスを熱するときの温度によって出来上がりが大きく変わるんですよね。そのうえ、複雑な技法を用いて作品をつくっているのですから、制作時の煩雑さはものすごいことでしょう。
こうした展覧会の解説で作品の材質が書かれていることは多いのですが、技法まで紹介されているのは珍しくて、つくり手としては大満足な展覧会でした。身近な暮らしにある製品の美しさだけでなく、つくり方やそのデザインの潮流まで知れるのが楽しかったですね。
※1 パート・ド・ヴェール
ガラスの練り粉の意。ガラスの粉末を型のなかで熔解して成型する技法のひとつ。古代メソポタミア時代から使われている技法である。※2 アプリカシオン
本体のガラスの表面に、モチーフのかたちに切り取っておいたガラスを溶着させる技法。エミール・ガレは1897年にこの技法で特許を取得した。
2022年も暮らしを彩る展覧会が目白押し!
パナソニックの社業と関わりの深い「建築・住まい」「工芸・デザイン」をテーマとした企画展も魅力のパナソニック汐留美術館では、2022年も暮らしを彩る展覧会の開催を予定しています。
2022年1月15日からは「未来へつなぐ陶芸 伝統工芸のチカラ 展」が開催中。人間国宝から若手作家の作品まで、日本のやきものの美を堪能できる展覧会です。
▼展覧会情報
会場:パナソニック汐留美術館
会期:2022年1月15日(土)〜3月21日(月)
観覧料:1000円(65歳以上900円)
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)※3
休館日:水曜日
最寄り駅:新橋駅、汐留駅
HP:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/22/220115/
※3 3月4日は20:00まで開館
2022年4月9日からは、20世紀最大の画家の一人と誰もが認めるパブロ・ピカソの展覧会「イスラエル博物館所蔵ピカソ― ひらめきの原点 ―」が開催されます。イスラエル博物館の膨大なピカソコレクションから、選りすぐりの版画作品を中心に、油彩画、ドローイング、写真を展示し、天才画家が描く人生の軌跡とその筆跡を辿る展覧会です。
▼展覧会情報
会場:パナソニック汐留美術館
会期:2022年4月9日(土)~6月19日(日)
観覧料:1200円(65歳以上1100円)
開館時間:10:00〜18:00※4(入館は閉館の30分前まで)
休館日:水曜日※5
最寄り駅:新橋駅、汐留駅
HP:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/22/220409/
※4 5月6日、6月3日は20:00まで開館
※5 5月4日と5月18日は開館
2022年7月9日から9月25日までは、パリで活躍した画家・キース・ヴァン・ドンゲンの展覧会「キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル」が、2022年10月29日から12月18日までは、明治から昭和にかけて画家・図案家として活躍した神坂雪佳の展覧会「つながる琳派スピリット 神坂雪佳展」の開催が予定されています。ぜひ、ご友人、ご家族と一緒に足を運んでください。
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