〈ミューズ〉たちとの愛と別れが生み出す作品世界を堪能できる! Bunkamura ザ・ミュージアム「マン・レイと女性たち」
20世紀を代表する万能の芸術家マン・レイの展覧会
文:出口夢々
2021年7月13日(火)よりBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「マン・レイと女性たち」。20世紀を代表する芸術家マン・レイの展覧会の見どころを紹介します!
マン・レイの作品世界を支える4人の女性たち
アメリカ・フィラデルフィア生まれのマン・レイ。ブルックリンで仕立屋を営む両親のもと画家になることを志します。その後、ニューヨークで既存の価値の破壊を目指すダダイストを名乗り、芸術活動を開始。1921年には活動の場を、フランス・パリ、モンパルナスへ移し、前衛作家としての活動だけにとどまらず、肖像・ファッション写真家としても活躍しました。当時のモンパルナスは芸術の中心地で、芸術家や文学者、モード界や社交界の人々が集う場でした。
マン・レイの名声を高めるきっかけになったのは《アングルのヴァイオリン》。
「マン・レイの名は知らないけど、この作品は見たことある!」という方も多いかもしれません。何を隠そう、私、出口もそのうちの一人です。本作は、エコール・ド・パリの芸術家のモデルとして人気を博したキキ・ド・モンパルナスを写した写真で、当時、マン・レイとキキは恋愛関係にありました。マン・レイがアメリカからパリへ拠点を移してまもないころに出会い、恋に落ちた2人は、7年間の同棲生活を送ります。キキは、パリのモンパルナスにおいて、その名を知らない者はいないと言われるほど文化人のあいだで名を馳せた女性でした。
多くの女性たちとの出会いや別れを繰り返し、彼女らをモデルに作品を制作したマン・レイ。「マン・レイと女性たち」は、マン・レイが親しくしていた女性〈ミューズ〉たちを通して、彼の作品世界を振り返る展覧会です。
キキと別れたマン・レイは、その後、ニューヨーク出身の写真家で軍事ジャーナリストのリー・ミラーと交際し、《天文台の時刻に―恋人たち》を制作。
スイスの画家で彫刻家のメレット・オッペンハイムと交際した際には、版画インクで手と腕を汚したメレットの官能的な姿を写真に撮り、スキャンダルを引き起こします。
第二次大戦中、マン・レイがアメリカへ戻った際に出会ったモデルでダンサーのジュリエット・ブラウナーとは結婚し、彼女をモデルに作品を数多く制作。
……と、ミューズとなった女性たち抜きには語れないマン・レイの創作世界。ときに優しく甘美で、ときに強く自立的で、ときには神々しいまでに美しい女性像を生み出したこの芸術家の作品に、ぜひ触れてみてください!
- 展覧会情報
- 「マン・レイと女性たち」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:9月6日(月)まで
観覧料:1700円
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)※
最寄り駅:渋谷駅、神泉駅
HP: https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_manray.html
※全日程日時予約制
※金・土曜日は20:00まで
※状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性がございます。
最新情報はBunkamuraホームページにて随時ご案内いたしますので、ご来場の際には事前のご確認をお願いいたします。
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