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9年ぶりに開催されるクールベ展! パナソニック汐留美術館「クールベと海 展」

ZIEL編集部おすすめ! レアリスムの巨匠が捉えた「奇妙な海」の連作が展示

連載 ZIEL museum 2021.4.07

文:出口夢々

4月10日(土)からパナソニック汐留美術館で開催される「クールベと海 展—フランス近代 自然へのまなざし」。19世紀フランスを代表するレアリスムの巨匠ギュスターヴ・クールベが、1860年代以降に集中的に取り組んだ「波」連作を中心に紹介する展覧会です!

 

19世紀フランスを代表する画家、ギュスターヴ・クールべ(1819-1877)。現実を理想化するのではなく、ありのまま描くことで、既存の政治や美術制度に敵対的な態度を表明したレアリスム(写実主義)の巨匠と言われています。クールベの故郷であるフランシュ=コンテ地方の切り立った山や森、動物たち、海など、厳しい自然の姿を繰り返し描きました。

ナダール「ギュスターヴ・クールベの肖像写真」1860年ごろ
Photo © Ministère de la Culture -Médiathèque de l’architecture et du patrimoine,Dist. RMN-Grand Palais / Atelier de Nadar / distributed by AMF

スイスとの国境に近い山間地、フランシュ=コンテ地方オルナンに生まれ育ったクールベ。20歳でパリに上京してからも、頻繁に帰郷してはこの土地の風景画を描き続けました。

ギュスターヴ・クールベ《フランシュ=コンテの谷、オルナン付近》1865年ごろ、油彩・カンヴァス、茨城県近代美術館

大自然に囲まれて育ち、秋になると狩猟も楽しんだクールベにとって、野生の動物は身近な存在でした。クールベは、人間に狙われ、支配される動物や、自然のなかに生息する動物の伸び伸びとした様子を描きます。

ギュスターヴ・クールベ《狩の獲物》1856-62年ごろ、油彩・カンヴァス、個人蔵

山間地で育ったクールべがはじめて海を見たのは、22歳、フランス・ノルマンディー地方を旅したときのこと。海はクールベの目に「奇妙なもの」として映り、それから20数年後の1865年から1869年にかけて、クールベは毎年のようにノルマンディーの海岸に出かけ、生涯に100点以上の海を主題にした作品を残しました。

ギュスターヴ・クールベ《波》1869年、油彩・カンヴァス、愛媛県美術館
ギュスターヴ・クールベ《波》1870年、油彩・カンヴァス、オルレアン美術館
© 2020 Musée des Beaux-Arts, Orléans

本展では、クールベが1865年以降に集中的に描いた作品のうち、11点の海を主題にした作品を展覧します。また、4月24日(土)には、「モーパッサン『女の一生』から学ぶ女性の生き方」でお話を伺った、慶應義塾大学教授の小倉孝誠先生が講演をされます。講演内容は「19世紀のフランス人と海」。こちらも併せてチェックして、クールベやフランス文化の造詣を深めてはいかがでしょうか?

展覧会情報
クールベと海 展—フランス近代 自然へのまなざし

会場:パナソニック汐留美術館
会期:2021年4月10日(土)〜6月13日(日)
観覧料:1000円(65歳以上900円)
開館時間:7〜11日 10:00〜19:00
     12〜13日 9:30〜19:00(いずれも入館は閉館の30分前まで)
休館日:なし
最寄り駅:新橋駅、汐留駅
HP: https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/21/210410/
※事前予約優先制

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