ファブリックステンシル講師——田中弥生の「輝き方」
75歳——自分流のアレンジを最大限に楽しむ
「『好きな洋服に好きなデザインをしたい』という想いが強くあるんです」
「角田まさ子のファブリックステンシル」の講師として教室を主催している田中弥生さん。洋服のデザインに関連する細かい作業が好きだという田中さんは、ステンシルが生活の一部として存在していると話します。そんな田中さんの「輝く」秘訣とは何なのでしょうか——。
家事の合間にもデザインを考えている
——今の生活の中心になっているものとは、どんなことですか?
田中:私の生活は「ファブリックステンシル」が中心になっています。
——ファブリックステンシルとは、どんなものなのでしょうか。
田中:ファブリックステンシルは簡単にいうと、ファブリック用ペイントで洋服に模様を描くものです。気に入った洋服やカバンなどに、自分だけのデザインを施して楽しんでいます。
日本におけるファブリックステンシル第一人者でもある、角田まさ子先生のファブリックステンシル認定講師として教室を開いているので、自分の趣味以外にも、週に一度、生徒さんに教える立場でもあります。
——はじめて「ファブリックステンシル」というものを知ったのですが、自分の手でこんなにきれいに模様が描けるなんてすごいですね。
田中:そうですね。電動カッターをつかってビニールフィルムをカットしていって、開いた穴に布用の絵具で色を入れることによって、きれいな模様を描くことができます。柄の組み合わせは自由なので、同じ模様の型を使っていても、人によってまったく違うデザインに見えるところがおもしろいところですね。家事やちょっとした時間にもデザインを確認したり、見本を描いたりと、ずっとステンシルのことを考えています。
それから、ステンシルは洋服選びも重要です。今は「好きだな」と思った洋服を買っておいて、それにどんなデザインを施すか、考えるのが好きです。模様や絵具の色が生かせそうな洋服を見つけたら、積極的に買うようにしていますね。たとえば、牡丹をデザインのメインにするなら、和風なちりめん生地の洋服を選んで工夫することもあります。
以前は洋裁で自分の好きな洋服をつくったりもしていました。洋裁の習い事を辞めて10年くらいになりますし、今は既製品の洋服がたくさんあるので、もう一からつくることはないかなと思いますが、「好きな洋服に好きなデザインをしたい」という想いが強くあるんです。そのため、ステンシル以外にもビーズ刺繍をして自分流のアレンジを楽しむこともあります。長年やっていると、「デザインにひと工夫加えたくなるな」と感じることもあるので、そんなときにビーズ刺繍をプラスしています。
友人づくりがきっかけではじめた習い事
——本当に洋服のデザインにまつわることがお好きなのですね。
田中:そうなんです。本当に洋服が好きだという気持ちでいろいろな習い事をしてきましたが、教室のみんなで談笑することも好きで、それも生活の楽しみになっています。
夫の仕事の関係で転勤族でしたので、「地元の友人」という存在がなくて。このままでは老後がさみしくなってしまうなと思ったのがきっかけで、染色を習い始めたのが今につながっています。
自分で主催している教室は朝の10時半~17時くらいまで行っているので、お昼は用意してきたお弁当をみんなで食べながら、おしゃべりするのが本当に楽しいんです。おやつなんかも持ち寄って、ときには愚痴もこぼしながら盛り上がっています(笑)。ただお稽古事をするのもいいのですが、やっぱり人と対話するととても楽しいですよね。年齢を重ねて、談笑も習い事の醍醐味だなと、感じるようになりました。
今では習い事で仲良くなった生徒さんたちと旅行に出かけることもあります。もともと旅行が大好きなので、元気なうちはなるべくたくさんの場所に行きたいなと思っています。
身体を動かす習慣を大事に
——ステンシル以外に生活の一部となっていることはありますか?
田中:講師の仕事の合間を見つけては意識的に外に出たり、身体を動かすことも習慣的に行っています。朝の6時半から自宅近くの広場でラジオ体操と太極拳をして、そのあとは遊歩道を30分くらい散歩しています。その後、教室がある日は教室に、ない日は週に2回ほど水泳に行って1時間くらい泳いでいます。
——とてもアクティブ……!
田中:特に水泳はもう20年くらいずっと通っていますね。ステンシルはどうしても細かい作業なので、身体を動かすようにしています。最近は疲れてお昼寝してしまうこともありますが(笑)。そのほかは専業主婦としてごく普通に家事をしていますよ。もう子育ても終わりバタバタすることもないので、夕食が終わったら、就寝までのリラックスタイムを大事にしています。
——リラックスタイムにはどんなことをされていますか?
田中:入浴したり、テレビを見たり、本を読んだり。前までは小説を読むことが多かったのですが、最近は健康に関する本を読むことも増えました。よかったものは生徒さんにもシェアして、お互いに情報交換をすることも楽しみのひとつです。
身のまわりのものは無添加にこだわる
——こだわって使用しているアイテムなどはありますか?
田中:身のまわりのものは、できるだけ無添加のものを選ぶようにしています。長男がアレルギーの多い子だったので、無添加のものを選ばざるを得なかったのですが、今でもこだわっている部分です。昔は特にこだわっていて、子どもに食べさせるパンやお菓子などもすべて手づくりでした。その流れで今も有機野菜を選んだり、化粧品や洗剤なども無添加の商品を選んでいますよ。
それから、アイテムではないですけど、最近は書道を習っています。体操教室の仲間に書道の先生がいて、その方に教わっているんです。字は一生ものですし、少しは悪筆を直せるかなと思って。
——私も大学時代に書道をやっていたので、字は一生ものだと感じます。
そして、ステンシルの教室に加え、たくさんの習い事をされていらっしゃいますね。
田中:そうですね、予定がたくさんあるので常にスケジュール帳が手放せません。でも、何でも興味が湧いてくると「やってみたい」という気持ちになるんです。少しでも時間があれば、何かしたいなあ、と考えてしまうくらい(笑)。そうした気持ちはこれからも大切にして、どんなことも挑戦していきたいなと思っています。
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