みずみずしさにこだわりたいから、すべての製品をハンドメイド
オーガニックな野菜やフルーツを使った「LUSH」の秘密①
取材・文:出口夢々
全国に約80店舗ある、コスメショップ「LUSH」。街中でふわりと漂うアロマの香りをたどっていくと、LUSHに行き着いた! なんて経験をしたことがある人も少なくないでしょう。
LUSHと言えば、カラフルで香り豊かな製品たち。できるだけオーガニックにこだわり、新鮮な野菜や果物を原材料に、ハンドメイドで製品がつくられています。なんだか、知れば知るほど魅力的なLUSH。そんなLUSHの製品の秘密を、LUSH PRの小山大作さんに伺いました。
▼お話を伺った人
“みずみずしさ” を追い求めた製造過程
——LUSHの起源を教えてください。
小山:LUSHは「化粧品ビジネスを通して、この地球上にいる人間や動物、誰もがハッピーに自分らしく暮らせる社会になること」を願いに掲げ、1995年に創立されたブランドです。ブランド名には「みずみずしい」や「青々とした」という意味合いが込められています。まさに、ZIELさんの3・4月の特集テーマ「春こそ、人生に祝福を!」に近い意味ですよね。また、「LUSH」には、「酔っ払い」というスラングの意味もあって。創立者たちがLUSHの製品について話していると、盛り上がって、いつの間にか酔っ払っているみたいにワイワイしてしまう。「 “LUSH” はブランドの願いや、僕たちの姿を表している言葉だね」となって、「LUSH」というブランド名がつけられました。
——ブランド名が意味している「みずみずしさ」は、どのように体現されているのですか?
小山:LUSHの原材料の多くはオーガニックなフルーツや野菜なのですが、神奈川県にある工場に採れたての原材料が届きます。届いたら新鮮なうちに、少量ずつ、製品を生産していくんです。そして、つくりたての製品を店舗へ発送します。
LUSHの製品のなかでもとりわけ鮮度が高いものは、新鮮な野菜とフルーツを使用したクレイタイプの「フレッシュマスク」です。この商品は、毎日、各店舗から受注を受け、その受注分を工場でつくり、発送しています。お店から「明日、●個ほしいです」と連絡がきたら、その分をつくり、発送をするんです。
——LUSHの製品には、製造年月日と使用期限年月日も記載されていますよね。
小山:はい、工場で製品をつくるときに新鮮な原材料を使うだけでなく、商品を新鮮なうちに使っていただけるように記載しています。商品をつくってから店舗に発送するときも、商品ごとに「出荷期限」が定められているんです。原材料が新鮮なうちにつくられたものでも、出荷期限を超えたら販売できません。もちろん、できるだけ廃棄が出ないように日本全国の難民の方や生活困窮者、災害地に商品提供をしたり、社内チャリティバザーを実施するなどして管理をしていますが、お客さまにフレッシュな製品が届くように、期限が定められています。
——原材料の調達から店舗への出荷までのスケジュール管理が大変そうです。
小山:天候によっては良質な原材料が採れなかったり、また豪雨などの自然災害が発生したら植物自体が育たなくなってしまいますよね。そのようなときには、別のルートで入荷先を見つけなければなりません。旬のものがどうしても手に入らないときには、輸入品に頼ることもあります。原材料となる植物がきちんと入荷できそうか把握し、調整する。入荷し過ぎても新鮮さが保てなくなってしまいますしね。ほんと、買い付けを担当しているチームは大変だなと思っています。
ハンドメイドでフレッシュさをキープ
小山:そして、フレッシュさにこだわるために、製品はすべてハンドメイドです。たとえば、レモン。LUSHではレモンを使う商品がたくさんあるので、全国各地からレモンを取り寄せています。採れる時期や場所によって、水分量や糖度、酵素の量が異なりますよね。毎回同じクオリティーの商品をつくるには、水分量ひとつ変わるだけで安定しにくいくなります。なので、機械任せにするのではなく、人の目で状態を見て、やわらかさなどを確かめながら適正な製品をつくる。そのため、新鮮さにこだわるからこそのハンドメイドなのです。
——YouTubeで公開されている動画「ボムルームの1日」を拝見しました。LUSHの製品がすべてハンドメイドなのは知っていましたが、実際にその様子を目にすると、かなりインパクトがありますね。アボカドを1つずつ手で剥いて、マッシュして、ガーゼで濾して……まるで料理をするようにつくられていて、安心感も覚えました。
小山:私もLUSHに入社してはじめて工場に行ったとき、その光景を目のあたりにしてびっくりしました(笑)。「本気でそこまでやっているの?」と思ったのを、今でも覚えています。動画にあった通り「バスボム」も、数万個という数を手作業でつくっていますし、砂糖でつくられるリップスクラブも、注射器のようなものを使用して、1つずつ、容器に詰めているんですよね。ラベリングも手作業です。
ハンドメイドによって、人の温もりや思いのこもった製品になります。ですが、正直なところ、とても非効率ですよね。たとえば急に商品が話題になって売り切れてしまっても、ハンドメイドなので大量生産ができず、結果としてお客さまを待たせてしまうこともあります。ですが、フレッシュな製品をつくることが私たちのモットー。なので、そこを変えるわけにはいかないんですよ。
小山:ちなみに、先ほども少しお話ししましたが、原材料は可能な限りオーガニックにこだわっています。でも、オーガニック認証のついているものを使えばそれでよいとは思っていないので、農家の方に直接会って、オーガニックであることを自分たちの基準で、自分たちの目で確認しています。
——自分たちがつくった野菜やフルーツが化粧品になると聞いたら、農家の方も驚くのではないですか?
小山:みなさん、おいしく食べてもらいたいから思いを込めてつくっていますよね。そんな野菜を「化粧品として使わせていただきたい」と話すと、「えっ」と驚かれます。ですが、LUSHの信念をお話しすると、ご理解いただけて、ずっと長くお付き合いさせていただいています。
そしてLUSHでは、すべてベジタリアン対応の原材料を使用することをお客さまとお約束しています。現時点では、約90%の商品がヴィーガン対応の原材料でつくられたものです。合成物質を使用する場合は、安全性の確認されたもののみを少量に限り、使用することがあります。
また、できる限り合成保存料を使わないで済むように、合成保存料を使わない「セルフプリザービング」という処方を用いています。自然の原材料の力の組み合わせで、保存効果を高める方法を自社で開発しているんです。古くから私たちは、保存効果を高めるために料理に塩や蜂蜜を使用していますよね。このように、私たちが口にする、保存効果のあるものは昔から存在していて、そのような原材料の力の組み合わせで、科学的な保存料を使わなくても保存効果を維持できるよう取り組んでいるんです。
現在、商品の8割以上が合成保存料を使っていない「セルフプリザービング処方」となっています。
フレッシュさを保つために商品を1つずつ手づくりしているLUSH。知れば知るほど、製品を使う人を大切にしているブランドなのだなと強く思いました。4月29日公開の記事では、LUSHの製品の秘密にさらに迫ります。
- 企業情報
- LUSH
ラッシュは、新鮮な野菜や果物を使った100%ベジタリアン対応のナチュラルコスメブランドです。約9割の商品がヴィーガン対応です。エッセンシャルオイルを使い、動物実験をせず、最大限合成保存料に頼らない手作りのスキンケア、ヘアケア、バス製品などで健やかな肌や髪のために役立ちたいと考えます。倫理的な原料調達や環境に優しい商品開発を通じて、毎日をみずみずしく豊かにし、ビジネスと自然との共生をめざしています。 https://jn.lush.com/
まだデータがありません。