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日光パワーでありとあらゆる病気を抑制

ビタミンDの実力、思っていたよりすごかった!

特集 春こそ、人生に祝福を! 2021.3.05

取材・文:花塚水結

毎日昇る太陽の光を浴びるだけ! 健康法としてもっとも簡単で、もっとも手軽、そしてタダ!

いいことづくしの日光浴のメリットを、サーモセルクリニック院長の斎藤糧三先生に教えていただきました。

 

日光を浴びれば体内時計が整う

 

花塚:だんだん気温が上がってきたので、「外に出て陽の光を浴びたいなぁ」なんて思う日も増えてきました。ただ、一方で「日焼けはしたくないなぁ」とも思っていて……。日焼けをする以上に、日光を浴びるといいことってあるのでしょうか?

斎藤日光を浴びるとホルモンを生成したり、栄養素を合成したりするなど、身体にいい影響をおよぼす場合が多いんですよ

花塚:えっ、どんな効果があるのですか?

斎藤:まず、日光は人間の体内時計をリセットする役割があります。人間には睡眠サイクルがあり、それが24時間でリセットされないと、睡眠時間がズレてきちんと朝に起きれなくなってしまうのです。
リセットにもいくつか方法があるのですが、朝日をしっかり浴びることで、夜になるとメラトニンという睡眠を深くするホルモンが分泌されます。つまり、眠りにつきやすくなるのです

花塚:えぇ……。私、朝起きるのが苦手なうえに、夜布団に入っても結局2時間くらいはYouTubeを見てしまうんですけど、 “朝日不足” だったということですか?

斎藤:その可能性が高いと思います。花塚さんは朝日浴びていますか?

花塚:浴びていません。そもそも休みの日はカーテンを開けることすらためらいます。

斎藤:カーテンは開けましょうね。

それから、セロトニンというホルモンの分泌量も増えます。セロトニンにも入眠や起床しやすくなる作用があるほか、気分を整える作用があります。不安な状態やマイナス思考に陥ってしまった際、そこから気持ちを切り替える機能があるんです。また、セロトニンが足りていないと、うつ病になりやすい傾向がありますね。

花塚:あ、よくマイナス思考に陥ることもあります。

斎藤:まず、カーテン、開けましょうね。

 

クララが立ったのは日光を浴びたから

 

花塚:日光を浴びると栄養素の合成もされるとのことでしたが、どんな栄養素が合成されるのですか?

斎藤UVB(紫外線B波)の光が直接肌に触れることによって、体内でビタミンDが合成されます。ビタミンDは僕の専門分野でもあるのですが、ビタミンDを摂取することで身体にいい効果がたくさん期待できるんですよ。

花塚:紫外線を浴びると日焼けするというデメリットしか思い浮かばないのですが、どのような効果があるのですか?

斎藤腸でのカルシウムの吸収率を3〜4倍に高める効果があります。そのため、ビタミンDが欠乏すると骨がもろくなるケースが多くあるのです。
実際に大気汚染がひどかった時代は、地表に到達する紫外線の量が少なく、子どもが「くる病」というカルシウム吸収不足により骨の形成がうまくいかずに、歩けなくなる病気が大きな問題になっていました。

日本アニメ『アルプスの少女ハイジ』では、病気で歩けない女の子のクララが出てきますよね。クララが過ごしていた時代や地域から、クララの病気は「くる病」であったのではないかと予測できます。

花塚:医学で日本アニメ界の謎が1つ解き明かさるなんて……。
クララが立てるようになったのはどうしてですか?

斎藤日光を浴びるようになったからでしょうね。ハイジが住んでいるのは、空気がきれいで標高が高いスイスです。クララはハイジと一緒に過ごすうちにたくさんの日光を浴び、ビタミンDの合成量が上がることでカルシウムの吸収率が上がり、骨が強くなって立てたということでしょう

地理的な要素として、緯度が高いほど太陽の入射角が低くなり、地表に到達するUVB(紫外線B波)量が少なくなる。また、標高が高くなることでUVB(紫外線B波)量が増えることがわかっている

花塚:ハイジの名言も「クララがたくさんの日光を浴び、ビタミンDの合成量が上がることでカルシウムの吸収率が上がり、骨が強くなって立った!」になりますね。

斎藤特に歳を重ねると、骨粗しょう症のリスクが高まりますから、カルシウムを摂るのと同時にビタミンDも摂っていただきたいですね

花塚:なるほど。ということは、ハイジの名言も「クララがたくさんの日光を浴び、ビタ……

斎藤歳を重ねた方は、皮膚での合成力が落ちるので、ビタミンDの経口による摂取が重要ですよ

花塚:(聞いてもらえなかった……)に、日光だけでなく、食事からも摂るべきなのですね。

 

ビタミンDはがんの抑制に効果アリ

 

斎藤:さらに近年ではビタミンDの機能が新たに2つわかってきています。

花塚:ビタミンD、優秀すぎませんか。どんなことがわかっているのですか?

斎藤1つは身体を構成している細胞の分裂を調整すること、もう1つは免疫の暴走を抑制することがわかっています

花塚:細胞分裂が調整されるとどのような効果があるのでしょうか?

斎藤皮膚がん以外のがんの発症リスクを抑制することがわかっています
乳がん、結腸がん(大腸がんの1つ)、肺がん、リンパ腫のいずれかを患っている患者658人に対して行ったノルウェーの研究があります。がんと診断されてから90日以内にビタミンDの血中濃度を測った結果、血中濃度が18ng/mlだったグループより、32ng/mlだったグループのほうが、がんによる死亡リスクが66%も低くなっていたのです

花塚:ビタミンD、めちゃめちゃすごくないですか……?

斎藤:そうなんです。ほかにも世界中の研究で、がんの抑制にはビタミンDが効果的であるという研究結果が出ています。

花塚:もう1つの、免疫の暴走を抑制する効果というのは?

斎藤免疫を正常に働かせる作用があって、喘息、リウマチ、花粉などさまざまなアレルギーのブレーキ役として重要であることがわかっています

ビタミンDを摂取することで、花粉の症状はおおむね和らぐと話す斎藤先生

花塚:生まれてこの方花粉とは無縁だったんですけど、今年の2月ころから度々鼻水が止まらなくて……。もしかしたら花粉アレルギーなのかもしれないと疑っているのですが、花粉に効くなんて朗報です。

斎藤うん、僕が見つけたからね

花塚:え、先生、超すごい人じゃないですか……。

斎藤:あとは皮膚や粘膜、腸などが抗菌ペプチドという抗生物質のような役割をもつ物質を分泌しているんだけど、その分泌量を調整することで感染症にかかりにくくする結果も出ていて、分泌量を調整する役割がビタミンDにはあるんです

花塚:え、ちょっと待ってください! 感染症というのは、インフルエンザとか今流行している新型コロナウイルスとかですか?

斎藤:日本の子どもを対象にした研究で、ワクチンを打ったグループと、ビタミンDを飲ませたグループでは後者のほうがインフルエンザにかかりにくかったという研究結果もあるんです

花塚:ワクチンにすら打ち勝つビタミンDって、すげーな。

斎藤:最近では新型コロナウイルスとの関係もわかってきて、ビタミンDの血中濃度が高い人は感染しにくく、感染しても重症化しにくいこともわかってきました

花塚:コロナ禍終息への希望にもなるビタミンDって、すげーな。

 

日光、食事、サプリメントをうまく取り入れる

 

花塚:とにかく、日光を浴びてビタミンDの合成量を上げれば身体にめちゃくちゃいい効果がたくさんあることがわかりました。
1日どれくらい日光を浴びれば、十分な効果が得られるんですか?

斎藤日本だと5〜9月のあいだであれば、週2回、半袖半ズボンでお昼ころに15分くらい外を散歩で、国が定めるビタミンDの目安量(8.5μg/340IU)には達しますよ。それでも冬の時期は紫外線の量が少なくてなかなかむずかしいし、そもそも僕自身が推奨している50μg(2000IU)には全然届かないんだよね。

花塚:日光だけだとダメなこともあるんですね。その場合はどうすればいいですか?

斎藤:やっぱり食事やサプリメントを推奨しています。食事だと、ビタミンDが多い食材は鰯や鮭かな。きのこにも含まれていますが、

花塚:きのこ、大好きです!!

斎藤:そうですか。でも、きのこ類だとかなりの量を食べないと基準に達することはむずかしいから、現実的ではないんだよね。
食事で実現しやすいのは、魚。鮭なら毎日200g食べられるかもしれないけど、まあまあ、大変ですね。

花塚:きのこだけではむずかしいのか……。
食事だけでもむずかしいとなると、サプリメントに頼るしか道はないと思いますが、やっぱ人工物ってイメージが悪くないですか?

斎藤:そんなことはないですよ。2015年までの日本人の食事摂取基準は、サプリメントを使った研究は除外されていたのですが、改定された2020年版の食事摂取基準では、サプリメントを使った有用な研究も採用され、推奨量なども少しずつ見直されてきています

あくまで、食事による食事摂取基準ではありますが、食事だけはむずかしいようなら、サプリメントも賢く活用しながら、基準をクリアするのが、今どきの栄養の取り方です

花塚:サプリメントも使いようですね! サプリメントは市販で売られているものでいいんですか?

斎藤:基本的には大丈夫だと思いますよ。心配ならば、品質が保証されている「GMP基準」に準じてつくられているサプリメントを選ぶといいと思います。

画像提供:日本機能性医学研究所
「GMP基準」と書いてあることもある。メーカーに問い合わせてみよう

花塚:その基準、サプリメントに書いてありますか?

斎藤:いや、記載していないことのほうが多いと思います。ですが、メーカーに問い合わせてみれば答えてくれると思いますから、きちんとしたサプリメントを選ぶ際に参考にしてみてください。

花塚:なるほど。聞いてみようと思います。
それにしても、ビタミンDをあなどってはいけませんね。

先生、今日はありがとうございました!

 

みなさんは日光を浴びていますか? ぜひコメント欄で教えてください。

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斎藤糧三

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2013年、「食で日本を健康にします」をモットーに、「一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会」を設立。2017年、スーパーフードとしての牧草牛の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm麻布十番」をオープン。2018年、ソフトウエア医療機器の開発企業として株式会社「ライフクエスト」を設立。著書に『慢性病を治す機能性医学の考え方』(光文社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)など。
斎藤糧三

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