春を祝おう! 世界の花祭り
ヨーロッパからアメリカまで、脳内旅行で気分も一新!
文:出口夢々
やっと訪れた春! ポカポカした陽気に、ウキウキしますね。
ですが、まだまだ制限も多い毎日。
「コロナ禍がなかったら海外旅行したかったのになあ」という方も多いのではないでしょうか? 私、出口もそのうちの一人です!「本当なら、ベルリンに遊びに行く予定だったのに……」
そこで本日は、春に開催される世界各国の「花祭り」を紹介。
春の訪れを「脳内海外旅行」で満喫しましょう!
「世界でもっとも美しい町」に漂うアーモンドの花の芳醇な香り
イタリア・アグリジェント「アーモンドの花祭り」
まずはこちら! イタリアのシチリア島南岸にある都市、アグリジェントで開催される「アーモンドの花祭り」です。毎年1月から2月、アーモンドの花が咲くころに行われています。
開催地のアグリジェントは、遺跡で有名な土地。世界文化遺産に登録されています。地中海を見下ろす丘には、ゼウス神殿やジュノーネラチニア神殿など、20個ほどのドリス式神殿が建てられ、その遺構は今もほぼ完全に残されています。ちなみに、アグリジェントは、ギリシアの大叙情詩人ピンダロスが「世界でもっとも美しい」と詠い上げた町だとか。
アーモンドの花の甘い匂いがふわりと漂う空間で見る遺跡……。長大な歴史に圧倒されながらも、アーモンドの香りに癒される——言葉には表せない、特異な体験ができそうです。だって、想像しただけでうっとりするんですから!
また、アーモンドの花祭りと同日で、民族舞踊コンテストも例年開催されています。世界中から集まった民族舞踊団が、それぞれの民族衣装を身にまとい、パレードを行うのだとか。遺跡に民族舞踊、アーモンドの花——それらが織り成す「世界でもっとも美しい町」は、もはや異世界! そこで過ごす日々は夢のようなものに違いありません。
バラ色の町で咲き乱れる130種ものスミレ
フランス・トゥールーズ「スミレ祭り」
次はこちら! イタリアから西に足を伸ばして……フランス第5の都市、トゥールーズで開催される「スミレ祭り」です。毎年、2月の最終土曜、日曜日に開催されます。
レンガ造りの建物が並ぶ旧市街が夕日に輝く様子から、「バラ色の町」の名で親しまれるトゥールーズ。トゥールーズにある村、トゥーレット・シュル・ルーは、19世紀からスミレ栽培を主産業としてきました。村で栽培されたスミレの多くは、南仏の町、グレースに運ばれ、エッセンシャルオイルの原料として使われています。
スミレ祭りの2日間、村は「バラ色」から「スミレ色」に大変身。村中が130種類ものスミレで彩られ、街角の音楽演奏やマルシェで賑わいます。マルシェでは、スミレの花の砂糖漬けやキャンディ、スミレの香りをつけたロウソクなど、スミレの特産品が並ぶそう。
レンガ造りの街並みって、なんてロマンチックなんでしょう。ここにスミレの花が咲き乱れる様子を想像してみてください……。ああ、なんてメルヘンチック……。「メルヘン」という言葉が人生であと一度しか使えないとしたら、私はここを訪れたときに使います。
ただスミレを見るだけでなく、スミレグッズも手に入ってしまうんです! スミレの花の砂糖漬けが売ってるのもうれしい! これがめちゃくちゃおいしくて……華やかだけど少しばかりのせつなさも感じられる香りが、ぎゅっと凝縮されたスミレの花の砂糖漬け。1つ口に入れただけで、蠱惑的な味の虜になってしまうんです……。日本ではあまり手に入らない製品ですが、スミレ祭りのマルシェならたくさん販売されているのだとか! これでもかというほど、買い溜めしてしまいそうです。
あれ、なんだか、「花より団子」になってしまいそうな予感がぷんぷん漂ってきましたよ……。
リゾート地で開催される色彩豊かな祭典
フランス・コート・ダジュール「ミモザ祭り」
スミレ祭りが開催されるトゥールーズ同様、南仏にある都市、コート・ダジュールで開催される「ミモザ祭り」。毎年、2月に約1週間にわたって開催されます。
ミモザ祭りが開催されるのは、コート・ダジュールの街、マンドリュー・ラナープル。マンドリュー・ラナープルは、19世紀から20世紀初頭にかけてミモザの栽培と出荷によって経済的利益がもたらされた街です。1929年に寒波による打撃を受け、その年はミモザを出荷できなくなってしまったのですが、2年後に被害から復興して栽培を再開。これをきっかけに、この街でミモザ祭りが行われるようになったそうです。
コート・ダジュールは、美しい地中海沿岸にある一帯です。澄み切った青色の海岸をバックに、ポンポンのようなかわいらしいかたちのミモザが繚乱する——色鮮やかな街並みに、浮き立つ気持ちになること間違いなしですよね! きっと、2月とは思えないほどのぽかぽかした陽気で、リゾート地ならではのゆったりとした時間が流れているんだろうなあ。
ミモザ祭りでは、ミモザ女王の選挙やパレードなども開催されます。私が気になっているのは、ミモザの森や温室、香水工場を訪れるバスツアーです。香水の原料としても使われているミモザ。みずみずしい、爽やかなミモザの香りが香水となって、(きっと)美しい瓶に詰められていく——そんな様子を見届けられるのは、香水やアロマなど香りものが好きな人にとっては、たまらないツアーなのではないでしょうか?
自分用のお土産として、香水も買って帰りたいですよね! 美しいリゾート地、コート・ダジュールで開催されたミモザ祭りで買ったミモザの香水……日本にいてもその香水をつけるだけで、一気に、フランスで休暇を愉しむ麗しいマダムになれそう!(妄想がはかどる!)
個性光る花のフロートが流れる
オランダ・ノールドワイク「春のフラワーパレード」
少しばかり妄想をしてしまいましたが、気を取り直して、フランスから北東に足を伸ばして……オランダで開催される「春のフラワーパレード」です! 毎年、4月の第3もしくは第4土曜日に開催されます。
「春のフラワーパレード」最大の魅力は、草花で豪華に飾られたフロート。20台ほどのフロートが、ノールドワイクからハーレムにかけて、約40kmもの道のりを進みます。すごく大きな括りで言うと、青森のねぶだ祭りみたいなものですね。フロートは観客が歩いてついていける速さで進むので、1日かけて散歩をしながらフロートを鑑賞するのだとか。
それにしても、なかなか個性豊かなフロートですよね……。恐竜や知らないおじさんの肖像画、それから花で花をかたちどった謎の花まで……。フロートは毎年決められたテーマに従って制作されるようですが、おじさんの肖像画フロートがつくられた年のテーマは何だったのでしょう。気になりすぎます。
ちなみにこのパレード、もとは第二次世界大戦の終戦を祝って始まったものだそう。回を重ねるにつれ終戦記念の色合いが薄れ、春を迎える華やかなお祭りとして人気を集めています。
日本から寄贈された3500本の桜が咲きこぼれる
アメリカ・ワシントンD.C.「桜祭り」
謎のおじさんフロートに少し呆然としてしまいましたが……気を取り直して、次はヨーロッパからひとっ飛び! アメリカ、ワシントンD.C.で開催される「桜祭り」です。3月下旬から4月初旬に開催されます。
桜祭りの目玉となる桜は、1912年に日本の東京市(当時)から日米の友好関係を祝して寄贈された、2000本の桜の子孫たち。今では3500本にまで増え、ポドマック河畔を囲うように咲き乱れています。
桜祭りでは、満開の桜のもと、マーチングバンドの演奏に合わせてチアリーディングが登場するパレードが行われたり、特別イベントとして日本の伝統技能や日本食を楽しめるのだとか。水辺に桜が咲き誇る様は、一瞬だけですが……東京・上野公園の不忍池に見えなくもありません。
その不忍池の4倍もの大きさがあるポドマック湖畔。そこに咲き乱れる桜のもとで行うお花見は、日本のものよりもダイナミックそうですよね!
ヨーロッパからアメリカまでをひとっ飛びしていきましたが、いかがでしたでしょうか? 妄想がはかどる脳内旅行でしたが、なんだか海外旅行欲がより刺激された気がします。この記事で知った花祭りに行ける日が早く訪れますように!
行ってみたい花祭りはありましたか? ぜひコメント欄で教えてください! 海外旅行が解禁されたら行きたい都市や観光スポットも教えていただけるとうれしいです!
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