睡眠が変われば体調も変わる 寝具の選び方—掛け布団編—
もう途中で目を覚まさない!
取材・文:花塚水結
毎日使っている寝具は劣化の具合がわかりにくいために、変えるきっかけがなかなかないのが現状です。しかし、健康寿命を延ばすうえで「睡眠」はとても大事なこと。そこで、良質な睡眠にするための寝具の選び方を、創業130年を迎えた眠りのプロショップSawada代表取締役の沢田昌宏さんに伺いました。
寝具を掛け布団・敷き布団・枕の3つに分けて、それぞれの選び方のポイントを紹介します。第1段は掛け布団の選び方。夜中に目を覚まさない掛け布団とはどのようなものなのでしょうか。
寝ている途中で目が覚めてしまうのは、睡眠時にストレスがかかっているから
高齢者になると、睡眠が浅くなります。よくあるのは、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒です。なぜ中途覚醒をしてしまうかというと、身体が何らかのストレスを感じているからからです。ストレスとは、寒い、暑い、身体が痛いなど些細なことですが、睡眠が浅くなったときに目が覚めてしまう要因になります。
朝まで中途覚醒せずに寝るには、寝具を含めて睡眠時のストレスを軽減する睡眠環境をつくることが必要です。
素材を重視して掛け布団を選ぶ
高齢になると筋肉量や運動量が減るため、代謝が悪くなってしまいます。代謝が悪くなると、自分自身で体温を上げることがむずかしくなり、冷えにつながるのです。また、布団と身体の間に隙間ができると熱が奪われてしまい、このことからも冷えの原因になってしまいます。そのため、基本的には「保温」に優れた掛け布団を選ぶとよいでしょう。
特に女性に多いのですが、冷え性や寒がりな人は、素早く暖まる寝具を選びましょう。素早く暖まる寝具を選ぶには、素材が重要なポイントになります。暖まるのが一番早いのは、カシミヤや羽毛など、動物性の天然素材です。
一方、暑がりな方は合成繊維を避けましょう。合成繊維には速暖性はありますが、汗を吸いにくいので、暖まってくると蒸れてしまいます。これを避けるには吸湿発散性の良い動物性の天然素材がいいでしょう。羽毛や羊毛、シルクなどは素材本来が持つ温度や湿度の調節能力を活かすことができます。
天然素材の毛布の上に布団をかけると保温効果抜群
また、これから寒くなる季節によくされるのが「毛布は布団の上か下、どちらにかけるか」という質問です。テレビでは毛布が上だと言われることが多いですが、必ずしも毛布を上にかけることが正しいとは言い切れません。
羽毛布団と合成繊維を使用した毛布を使用する場合、毛布を上にかけるほうがよいでしょう。理由は、身体と羽毛布団の間に合成繊維の毛布が入ってしまうと、羽毛布団のよさが活かされないからです。
単に保温性を上げるだけであれば、上に乗せるのは毛布でなくてもいいと思います。むしろ、重い毛布は布団が潰れてしまいますから、布団の保温性が損なわれます。
理想的には、ウールやシルク、カシミアなど保温性にも、吸湿発散性にも優れた天然素材の毛布を肌近くに使用し、その上に布団をかけるといいと思います。毛布が身体にフィットするので、肩との間に隙間ができて肩が冷える、といったこが避けられるメリットがあります。
カシミアは値が張りますが、その分、あたたまるのが格段に速く、汗の吸収と発散する性能が高いので、最適です。ウールやシルクでもよいので、自分に合った天然素材の毛布を選びましょう。
ただし、木綿わたの毛布は今でも多く使われていますが、暖まるのが遅いので、冷え性の方や高齢者にはあまりおすすめできません。
みなさんの使っている寝具はいかがでしょうか? 見直してみたいなと思われた方は、ぜひコメントで教えてください。
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この記事に協力してくれた人special thanks
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沢田昌宏
株式会社沢田商店 代表取締役。1958年生まれ、大学卒業後取引先の寝具製造メーカーで3年の修行後、1983年長浜へ帰郷。株式会社沢田商店へ入社後、2001年代表取締役に就任し、現在にいたる。睡眠の専門家であると同時に、寝具選びは素材の農場まで出かけて選び、羽毛布団は自らが手づくりするなどこだわりを見せると同時に、長く使う・再利用する・土に還るなど、環境に配慮したサスティナブルな寝具選びを推進している。
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