「菌活」で腸から元気になろう
菌食材を取り入れて健康体へ
取材・文:花塚水結
みなさんは、「菌活」をご存知でしょうか? 菌活とは、きのこをはじめとする菌食材を摂取する活動のことです。2013年にきのこの生産や販売を行っているホクト株式会社が名づけ、活動を後押ししています。
菌を積極的に取り入れるとどんな効果が得られるのか、管理栄養士としてホクト株式会社で働く中村愛香さんに教えていただきました。菌食材を積極的に取り入れて、健康体になりましょう!
菌は腸に100兆個以上、1.5kg存在する
花塚:まずはじめに、「菌活」とは何か教えてください。
中村:菌活とは、「健康や美容のために身体にいい “菌食材” を積極的に食生活取り入れる活動」を言います。
花塚:菌食材を取り入れる活動のことなのですね。菌食材とは、具体的にどのようなものがありますか?
中村:菌食材には、下記のようなものが該当します。
花塚:きのこも菌なのですね。
中村:そうです。きのこ自体が菌でできているので、きのこは100%菌なのです。
菌が含まれている食材だと、菌以外にも多少の糖分や塩分、脂肪を摂取することになるので、場合によっては摂り過ぎに気をつけなくてはなりません。ですが、きのこは100%菌であることに加え、身体にいい栄養素がたくさん入っているため、菌活におすすめな食材です。
花塚:菌活にはきのこがうってつけなのですね。
菌食材を摂取すると、どんな影響があるのでしょうか?
中村:腸の働きがよくなり、健康になります。
腸には500種類、100兆個以上もの菌が存在していて、重さにすると約1.5kgにもなります。
花塚:菌だけで1.5kgですか!?
中村:そうなんです。腸に存在する菌を腸内細菌と呼びますが、主に善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があります。3つの菌のバランスが、善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7の割合になると、いいと言われているんです。
善玉菌は、乳酸菌やビフィズス菌と呼ばれる菌が代表的ですが、腸のなかで糖を発酵させて身体に有用な物質をつくり出します。発酵は、取り込んだ栄養素を身体にいいエネルギーに変化させるので、とてもいい働きをしてくれるのです。
一方悪玉菌は、ウェルシュ菌と呼ばれる菌が代表的ですが、こうした菌が活発になると、タンパク質を分解して腐敗させ、身体に有害な物質をつくり出します。こうなると、便秘などの症状が出たり、免疫力を低下させてしまうのです。
花塚:日和見菌とはなんでしょうか?
中村:身体にとってよい働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌の、どちらか多いほうに加勢して同じような働きをする菌のことです。悪玉菌よりも善玉菌のほうが多ければ、善玉菌と同じ働きをしてくれるので、腸内環境がとてもよくなるのです。
花塚:なるほど! このバランスだと、9割の腸内細菌がよい働きをすることになりますね。
腸内環境が整うとどのような効果が得られますか?
中村:腸は身体の大切な役割をいくつも担っている臓器です。腸内環境が整うと、腸の役割が正常になり、全身の健康につながります。
中村:菌食材を摂取すると腸の働きがよくなるので、上記の役割がしっかり機能し、全身の健康につながります。
花塚:健康を維持するためには、腸を整えることから始まりますね!
中村:はい。特に、高齢になると腸も歳を重ねて、動きが鈍くなってしまうことがあります。菌活をすることで腸の老化を遅らせられるので、代謝の向上や美肌を保つことにもつながります。
栄養たっぷり汁まで飲み干せる きのこレシピ
花塚:きのこを使ったおすすめレシピはありますか?
中村:たくさんあります!
これから寒くなる時期にもぴったりなレシピをいくつか紹介します。
ブナピーと根菜の味噌ポタージュ
きのこや根菜には食物繊維が豊富に含まれるので “健康の要”と呼ばれる腸を整えられます!
また豆乳を使うことで女性ホルモンのエストロゲンと似たような働きをするイソフラボンも摂れるので、女性に嬉しい効果もたくさん!
霜降りひらたけと白菜の旨煮
きのこの溶け出たうま味を隠し味のバターが引き立てるシンプルな一品です。霜降りひらたけからうま味が出るので、少ない調味料でもおいしくなります。
生どんこのホイル焼き
ジューシーでうま味が溢れる生どんこはホイル焼きにしてうま味を閉じ込めるのがオススメです。
中村:温かい食事をとることで腸も動きますから、寒い季節にぴったりだと思います。また、きのこにはうま味成分がたくさん入っていて出汁が出るので、汁物や鍋の食材として入れるのがおすすめです。
花塚:どれもおいしそうですね! 出汁が出ることには驚きました。
中村:きのこでとった出汁は本当においしいので、汁物料理にもきのこはおすすめです。
また、きのこに含まれる栄養素は、水溶性のものが多く水に溶けやすいので、そういった理由からも、スープまで飲める汁物料理にすると、より効果的に栄養素を摂ることができます。
花塚:どのくらいのペースで菌食材を摂取すると、より菌活に効果的ですか?
中村:基本的に腸内細菌は便と一緒に排泄されてしまうので、毎日摂っていただきたいところです。当社商品のきのこは1パック100gなので、できれば1日1パックを目安にしていただくといいと思います。
花塚:1日1パックなら無理なく摂取できそうですね。
中村さんは、どのように調理してきのこを食べていますか?
中村:私は毎日きのこを食べているのですが、仕事が忙しくて帰るのが遅いこともあるので、簡単にきのこを食べられるように工夫をしています。
きのこをレンジで温めて、市販の浅漬けのもとや塩昆布、味のついたお酢などに漬け、常備菜として保存しています。簡単にできるので、忙しいときでも晩ご飯に一品加えたり、お弁当に入れたりして、気軽に菌活できますよ。
花塚:常備菜にしていれば、毎日楽に摂取することができますね。
中村:はい。また、きのこにはビタミンB群や食物繊維など、身体にいい栄養素も多く含まれています。
特にビタミンB群は、ご飯、肉、魚などに含まれている3大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)をエネルギーに変えるときに必要な栄養素で、エネルギーづくりや健康な体づくりの大事なアシストをしています。
加えて、ビタミンB群のなかのナイアシンという栄養素は、血管を拡張させて血行を促す働きがあり、冷え予防や、冷え性の方に効果的です。
ビタミンB群は、野菜にはあまり含まれていない栄養素なので、積極的にきのこを食べて菌活してみてくださいね。
今日試してみたくなる! エリンギの話
ビタミンB1や食物繊維が豊富なエリンギ(エリンギの詳しい話はこちらから)。数多くあるきのこの種類のなかで、エリンギでとった出汁が一番おいしいというデータも出ているんです!
また、高齢者の方から「エリンギが噛みにくくて食べづらい」といった声をいただくことがあるのですが、そのときは輪切りにしてみてください。
エリンギは、縦切りにして使うことが多いと思いますが、それでは繊維が断ち切れず、歯応えのある食感になるのです。輪切りにすることで繊維が断ち切れて、ホタテのようなやわらかい食感になり、食べやすくなると思います。
もちろん、歯応えを楽しみたいときは縦切りがおすすめです! ぜひ試してみてください。
いかがでしたでしょうか? 今日の夕飯から早速きのこを取り入れて健康体になっちゃいましょう! 好きなきのこ料理をぜひコメント欄で教えてください。
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きのこらぼ: https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/
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中村愛香
管理栄養士、スポーツフードアドバイザー。共立女子大学卒業。2012年ホクト(株)入社。『きのこを通して健康や笑顔をお届けすること』をテーマに幼児、小学生、主婦、高齢者等、様々な世代に食育活動を展開。きのこを通じて食事や健康の大切さを伝えると共に、近年はスポーツに励むアスリートに向けた栄養セミナーも実施している。
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