編集後記
10月の特集「100歳までのお金の使い方」を終えて
文:花塚水結、出口夢々
収支を把握して洋服を買った10月——花塚水結
みなさんは日々の収支を知っていますか? 今月の特集「100歳までのお金の使い方」では、主にFPや金融のプロの方に取材をさせていただきました。その各取材のなかで毎回いわれたのが「収支は必ず把握しないといけません」ということです。
私は、毎月いただく給料の明細を見て、あとはなんとなくやりくりしているだけだったので、自分の収支を詳しく知りませんでした。加えて、就職してから家計簿アプリを始めたものの、2カ月でやめてしまった過去があるので、資金管理がとても苦手です。
「とりあえず毎月貯金はしておきたい」「でもいくら使っていいのかわからない」こんな思いをずっと抱いて生きていると、「お金を使うのが怖いな」と感じることもありました。
ただ、取材のなかで「自分が生活できる範囲であれば、お金を使ってもいい」ということを学びました。あたり前のことかもしれませんが、資金管理ができない自分にとっては「お金って使ってもいいんだ!」と発見をしたような気持ちになりました(笑)。
早速、今月の収支を確認したうえで、「いつ死ぬかわからないから欲しい洋服買おう!」と決意し、コートとニットとブーツを買いました。自分の収支を把握し、その範囲でなら「お金を使う」って怖くない。むしろこんなにも気持ちがいいんだということをはじめて知りました。
そして、ここ1年くらい悩まされていた原因不明の蕁麻疹が消えたのです(本当の話です)。これで薬代も浮きました。
やみくもにお金を使ってしまえば、月末も老後も大変。でも、毎月の収入を把握してお金をやりくりすることを積み重ねていけば、老後もきっと安心して暮らしていけるのかな、そう思いました。
いつ死ぬかわからないからこそお金を使いたい――出口夢々
毎月の特集テーマは、そのテーマが始まる1カ月半ほど前に花塚とうんうん唸りながら決めています。10月の特集テーマは「100歳までのお金の使い方」でしたが、実は、当初は「100歳までのお金との付き合い方」にする予定でした。100歳まで生き抜くためにはお金をいくら残しておく必要があるのか、どうすれば日々の固定費を節約できるのかなど、「なるべくお金を使わずに過ごす」方法を記事にしようと思っていたのです。
ですが、話し合っていたときに気づいてしまいました。「いつ死ぬかわからないんだから、ケチケチしないで過ごしたくない?」と。たしかに、いつ死ぬかわからないからお金を大事に使って、万が一のときに備えておく必要があると思います。でも、いつ死ぬかわからないからこそ、自分のために、自分が大事だと思うことへのためにお金を使いたいと思ったのです。
そこで、急遽テーマを変更し、話し合いを進めることにしました。ポイントは「100歳まで生きる」という前提を崩さずに、お金の使い方を考えられる記事をつくること。平均寿命が伸びているとはいえ、100歳まで生きる可能性は低いかもしれません。ですが、「いつ死ぬかわからない」からこそ、100歳まで生きる前提で考えれば少しは安心できるのではないかと思い、「100歳」という年齢を設定しました。
この趣旨を踏まえて主にFPの方にお話を伺ったのですが、定年退職してからも働いたほうがよいこと、年金だけでは暮らせないことなどを知り、正直憂鬱な気持ちにもなりました……。命があるのはいいことですが、生きるためにはかなりのお金がかかるという事実を具体的な数字とともに知るのはなかなかくるものです。ですが、これらを知っておかないと、のちのちさらに大きな問題を抱えることになる、そう思いながら取材を重ねた日々でした。
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