「温活」で身体の底力をアップ!
免疫力が上がる食事法・入浴法・飲み物
取材・文:出口夢々
手足の冷えや自律神経の乱れにお悩みの方も多いのではないでしょうか。サーモセルクリニック院長の斎藤糧三先生によると、歳を重ねると表体温が低くなり、表体温と深部体温のかい離が大きくなりがちだとか。そのかい離が引き起こす不調を「温活」で改善しましょう。
▼お話を伺った人
糖質を摂りすぎると手足が冷える!
——なぜ、歳を重ねると表体温が低くなりがちなのですか? そもそも表体温と深部体温とは何でしょう?
斎藤:表体温は、普段の暮らしで私たちが測っている体温で、皮膚表面の温度のこと。36.5〜37.1℃が健康的な体温と言われています。35℃台の人は生活習慣を見直したほうがいいですね。一方、深部体温は腸など身体内部にある臓器の温度のこと。37±0.5℃のあいだで変動します。温活で上げたいのはこちらの温度です。
斎藤:深部体温は加齢には左右されないのですが、表体温はストレスや糖分過多、加齢による動脈硬化によって下がりやすくなります。というのも、身体がストレスを感じると、自律神経のうちの交感神経が優位になります。すると末端の血管が収縮し、手足が冷えるんです。
斎藤:また、食事のあと眠くなる人は要注意。糖分を摂りすぎて、冷えを招いています。上がりすぎた血糖値が急激に下がるとき、交感神経が優位になるんですよ。
斎藤:そして、加齢による動脈硬化が起こると血管の収縮や拡張がしにくくなり、血流が悪くなるので末端が冷えます。そのため、糖質を減らし、タンパク質と脂質を増やした食事を摂るように心がけてみてください。タンパク質と脂質は体内で熱を発生させる食事誘発性体熱産生が高いので、冷えを引き起こさないだけでなく、身体を温める作用があるんです。
入浴と飲み物で深部体温を上げる
——深部体温はどのようにしたら上げられますか?
斎藤:入浴です。40℃くらいのぬるめのお湯に、10〜15分入ってください。肩までしっかり浸かって、10分です。入浴時間が10分を超えたあたりから深部体温が上がるので、必ず10分は浸かってくださいね。
また、最近は二酸化炭素を発生させる入浴剤がたくさん販売されています。二酸化炭素は身体を温める効果があるので、ぜひ活用してみてください。
斎藤:また、ハーブティーやチャイ、ショウガエキスなど、身体を温める作用のある飲み物を飲んでみてください。眠る直前に飲むと深部体温が上がりすぎてしまい、眠気が覚めてしまうので、朝や夕食後に1杯飲むのがおすすめです。
斎藤:身体が温まるとリンパ球が活性化され、風邪やウイルスに対する免疫が上がります。コロナ禍の今、うれしい作用ですね。また、身体を温めると、細胞のなかで熱によって増えるタンパク質である「熱ショックタンパク質(HSP)」が増加し、ストレスに強くなったり疲れにくくなるんです。HSPは一度ストレスがかかったときに増えるもの。なので、次にストレスがかかったときに、それに対抗しやすくなるんですよ。
身体が整うだけでなく、免疫力やストレス耐性まで向上する「温活」。深部体温を意識して、ぜひ身体の底力をアップしてみてください!
この記事に協力してくれた人special thanks
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斎藤糧三
サーモセルクリニック院長。1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2016年、サーモセルクリニック開院。著書に『慢性病を治す機能性医学の考え方』(光文社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)など。
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